2004年01月14日
相撲が持つ色々な側面
伊勢ノ海部屋応援掲示板に,こんな↓書き込みがありました.
僕は学校で相撲についてテーマ研究をしています。もしよければいろいろ参考にしたいと考えているのですが、、、
僕は相撲は日本の伝統であると思うんですが、近年の若者はだんだん相撲に対する関心が減っていっているように思えます。このままの状態は非常に喜ばしくないって考えています。みなさんはこれからの相撲界についてどうお考えでしょうか?よければみなさんの意見をご教授してくれれば幸いです。
なわけで,相撲が持つ特徴を,簡単に振り返ってみたいと思います.
■ 最初の相撲
「日本書紀」には野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)の死闘(ちからくらべ)が相撲のルーツであると言われています.
■ 神事としての相撲
農耕社会の日本では,五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願い,力人(ちからびと)達が競演を繰り広げることで,神へ感謝の意を表わしたりします.今でも各地の神社などで行われている奉納相撲は,神事としての相撲であると考えられます.
■ 相撲節(すまいのせち)
競技としての相撲と,(農耕儀礼のような)儀式としての相撲の両方の特徴を合わせて形式化し,天皇の御前で繰り広げられる相撲人(力士)たちの力競べ(取り組み)を相撲節と呼びます.これは毎年1回7月に開催され,9世紀から12世紀末までの約400年間に行われていた.この段階で,制度としての相撲が確立されたと言われています.
■ 武家相撲・職業相撲
ちょいと省略
■ 現代の相撲
大相撲(いわゆるプロ)とアマチュア相撲とがありますが,大相撲の繁栄とは対照的にアマチュア相撲の人気はほとんどありません.唯一の例外が小学生を対象としたわんぱく相撲で,予選参加者を含めた競技人口は1万人近くいるようです.しかしながら,中学・高校へ進学するにつれて,アマチュア相撲の競技人口は激減しています.
ただし,一部のアマチュア力士は大学まで相撲競技を続け,その後プロ入りし大相撲で活躍していることは,ご存知の通りです.平成16年初場所の幕内力士42名中,学生相撲出身者は 15名を超えています.更に,朝青龍や朝赤龍のように高校相撲経験者がそのままプロ入りし,比較的短期間のうちに関取となっている例もあります.
大相撲においては,マゲや行司の装束に見られるように,歴史的・文化的な部分を残しつつ,競技(興行?)としての相撲を発展させていますが,一方でアマチュア相撲では,制度やルールを洗練し,相撲を開かれた競技(スポーツ)とする努力をしています.その結果として,アマチュアの世界選手権大会が開催されたり,あるいは女性用の新相撲が設立されたりしています.
国際化という観点で見ると,大相撲では個々の力士が日本文化に順応することを(暗に)強いているのに対して,アマチュア相撲では日本文化を知らない国の人でも競技可能なように制度やルールを整備しているという違いがあります.例えば相撲の立ち合い.大相撲ではいわゆる「阿吽(あうん)の呼吸」を理解しないと満足な立ち合いができませんが,アマチュアでは「両手を土俵に着いて静止したのちに審判のかけ声とともに立ち合う」ことになっています.このようにルールを変更することで,誰でも比較的簡単に競技としての相撲を始めることができます.
■ テーマ研究に関して
上記のようなことをふまえつつ,相撲を見て面白いと感じる心はどのようにして育って行くのか.あるいは,ちょっと相撲でも取ってみようかと思った時に,気楽に相撲を取れる環境があるのか.神社のお祭り相撲に飛び入り参加した経験のある若者はどの程度いるのか.わんぱく相撲の経験はあるけど,結局相撲は続けずに他のスポーツに転向した人がどの程度いるのか(ラグビー転向者って結構多いようです).などなどを調査したりしてまとめると,いい感じになるんじゃないでしょうか?
と言いつつ,このぐらいのことをするのって高校生以上じゃないと厳しいような気がします.質問をしてくれた藤江ma-kun さんがもし中学生以下だとすると,あまり直接の参考にはならないかもしれません.その時はごめんなさい.
■ 参考図書
「相撲の歴史」,新田一郎,山川出版社.
「相撲、国技となる」,風見明,大修館書店.
「大相撲の経済学」,中島隆信,東洋経済新報社.
相撲を自分の人生設計に入れた息子の話です。小学生は夏のわんぱくと12月のジュニアオリンピックの2つの大会が全国版です。それぞれの予選を勝ち進んで4,5,6の各学年夏は150名位冬は33名の選手が国技館の土俵で戦います。でも青年会議所主催の夏の大会は出れない地域の子もいます。現に息子も転勤先の地区予選に某道場に入っていないからと言う理由で出場申込書を返却されました。今でも悔しい思いがこみ上げてきます。中学はまた大変です。全中は同一中学で団体が組めないと個人戦しか参加資格がありません。少子化の今、この条件を満たせる中学は相撲部のある私立以外には数少ないようです。また都会の某市では他の子と平等で無くなるからと校長会で不参加を決めている所も有るようです。(先生が引率して行かなければならないから)全国大会も夏に集中してあるようです。3学年ぶち込みなので1年は勝てる事が少なく小6時代とのギャップについていけず相撲を辞めて行った親子を何組も知っています。また成長期の問題もあります。大きいほうが有利だった相撲の取り口しか知らない子が自分がだんだん大きくなくなってきたとき負けてばかりで面白くなくなってやめてしまうパターンも多いです。行が足りないので次にコメントします。
Posted by: : 2004年01月19日 11:04小学生と中学生は同時開催で年にいくつかの地方大会が有ります。4~12月まで地区大会全国大会を含めて10大会位参加しました。小4までサッカーのクラブチームにも所属していましたが、それぞれの地区予選全国大会が重なる可能性が大きく他の選手にも迷惑を掛けかねないのでサッカーを辞めて相撲一本にしました。高校は公立にも相撲部が有る所が多いです。でも自分の希望する高校となると偏差値も高い方が良いです。息子の目標としている高校は5段階の4は要ると言う事なので勉強も疎かにしない様に、口喧しく言っています。中卒で角界入りというのは今の時代に合わない風潮だと思います。辞めても整体師の資格も取れません。(高卒以上ですから)高校の時点でわんぱくに参加していた半数以上は姿を消しています。
だから公立中学で相撲のできる環境を整えてあげることが相撲をスポーツとしてもっと盛んにしていく早道だと思います。高校大学は公私立とも充実していると思います。体重別も有りますので自分なりに目標を決めて取り組んでいけると思います。体を造るというのも大事な要素だと思います。「最高目標はやはりプロ?」とよく聞かれますが親子とも「とんでもない」と答えています。一人息子からはハングリー精神とか悔しさとかは皆無です。猫舌なのでちゃんこはあまり好きでないしプロ入りしてもいじめられて帰ってきた子も何人もいるし野球選手やサッカーと比較すると職業として捕らえると魅力は少ないと思います。大碇や土佐ノ海といった関取になれるのはほんの一握りです。数少ない関取になっている御両人、「すごいんだ」という自覚のもと練習から頑張ってくださいね。
コメントありがとうございます.実体験に基づく話は説得力が違いますね.わんぱく力士がそのまま相撲を取り続けられないところに問題点があるのは,ご指摘の通りかと思います.学校が主体となって,あるいは地域の道場・スポーツクラブなどが主体となって,小学校高学年~高校までの相撲を盛り上げると,もう少し違ってくるのでしょうね.
伊勢ノ海部屋に入門した力士も,相撲との関わりは人それぞれです.例えば鎌倉は,小学4年からワンパク相撲を始め,相撲はスポーツ少年団で続けてきました.中学校のクラブ活動は柔道部です.高校進学も考えていたようですが,色々と悩んだあげく,伊勢ノ海部屋への入門を決めました.
柏竜は中学卒業後すぐに大相撲入りを希望していましたが,両親と相談の上,高校へ進学することにしました.高校時代は寮生活をしながら相撲を続け,希望通り大相撲の世界へ飛び込んできました.
もう引退してしまいましたが,荒海は小中学校時代に地元の相撲道場に通って相撲を続けていました.県レベルの大会で,後に土佐ノ海となる山本君が活躍していたことを覚えているそうです.荒海が中学を卒業する時には,鳥取城北高校(琴光喜が卒業した高校)からの誘いがあったそうですが,早い方が良いと思い大相撲入りを決めました.
現在の社会状況を考えると,中卒での大相撲入りはどうか?という意見もあるかと思います.実は,通信制高校を利用して高卒の資格を取っている力士は大勢おりますし,部屋が高卒の資格を取ることをサポートしている場合もあります.また,相撲協会でも,通信制高校と連携し,スクーリングの一部を相撲教習所で行なえるようにして,高卒の資格を取りやすくするようにしています.
逆に社会の方からの歩み寄りもあります.専門学校によっては,社会人経験がある場合には本来必要な高校卒業の条件を免除することがあります.大相撲の力士は立派な社会人ですから,たとえ中卒の力士であっても,社会人経験を活かして,整体師の資格を取るための専門学校に通っている元力士もおります.
まぁ,色々と書きましたが,私としては,力士として精進している人っていうのは,いわゆる「神に選ばれし力人(ちからびと)」であり,それだけでも尊敬に値するなぁ.と思いつつ,力士達に接しておるわけです.
相撲の神事と言われている理由ってなんですか?
Posted by: やん : 2004年07月18日 01:16>やんさま,
神事の一つとして力人(ちからびと)達が力比べなどをしていたというのが,相撲の始まりと言われています.
こんなんで答えになっていますか?