2004年02月29日
相撲甚句物語 花筏健・著
全国各地に伝承されている相撲甚句を丹念に実地調査し,筆者なりの分析を交えながら相撲甚句の成り立ちを考察している.甚句のルーツを探った本格的な書籍である.
■ 相撲甚句物語―ルーツを求めて,花筏 健 (著),現代書館,2000円(税別)
筆者の花筏(はないかだ)氏は,昭和35年に初土俵を踏み昭和41年に引退した元十両力士で,現在は山形県鶴岡市にて,ちゃんこ花筏を営んでいる(花筏は現役時代の四股名).著書も多数ある.
私が気に入った一節は次のようなまとめである.
相撲甚句のルーツは甚九郎節であり、また船乗り唄、盆踊り唄、二上り甚句でもある。いろいろな唄の要素を取り入れて成り立ち、今日に至っている。すなわち甚句は唄の”ちゃんこ鍋”とも言えよう。そして甚句の歴史は、まさに真似と改作の歴史でもあった。
ここへ至る過程で筆者は,”ちゃんこ鍋”の由来に関するいくつかの節を比較しながら,実は沖縄の「チャンプルー」や長崎の「チャンポン」と同じような語源を持ち,肉や魚や野菜などの色々なものを「ゴッタ煮」にした鍋ではないだろうか?という節を披露している.ただし,本職のちゃんこ料理屋として,単にゴッタ煮にしただけでは美味くはならないことも,忘れずに注意している.
その例を引き合いに出した上で,相撲甚句も日本各地に伝わる唄のチャンポンなのである.と,結論づけている.当然,単に混ぜ合わせただけではダメで,素材の特徴を活かし,いい味を出し,まわりに受け入れられたものが今現在生き残っていることになる.
ちなみに,伊勢ノ海部屋マネージャの浅坂氏も,甚句の資料を花筏氏に提供しており,協力者として「第II部 甚句の成立」の終りの方に名前が記載されている.
なお,本書を発刊後の顛末が(というほど大袈裟ではないと思うが),氏のホームページで公開されている.未知の『甚句伝承地』との新たな出会いがあったようである.
2004年02月20日
福岡の自警団に「格闘家」
西日本新聞によると,福岡東署と東福岡防犯協会(福岡市東区)が,地域の柔道・空手などの有段者や現職警察官らが参加する「自警団」を結成する計画をたてているとのこと.
「自警団」と言えば,伊勢ノ海部屋が昨年2月に相撲自警団を結成してちょうど一年が過ぎたところだ.
PS (2/29). なんか西日本新聞のリンク間違えていました.URLに today とか入っている時には気をつけないと...それと,過去記事は 2ヶ月分ぐらいしか保存されてなさそうな感じです.
この一年の間,夏休みには夕方の早い時間帯に回る「少年隊」を募集し,力士と子供達とが一緒になって近所のパトロールをする活動なども行なってきている.相撲部屋が,地域の活動へ貢献することで,子供達が相撲に親しみを持ち,更にはボランティア活動に関心を示してくれるのではないかという期待もある.
今回新聞記事になった自警団は,福岡市東区での結成が予定されている.実は,伊勢ノ海部屋の九州場所の宿舎があるのも同じ福岡市東区である.なにがしらの関係があるのでは?と思っているのだが,最初に結成が予定されている美和台は,宿舎のある箱崎からは少々遠い.直接の関係はないのかもしれないが,伊勢ノ海部屋の東京での活動を聞きつけた誰かが,こういう活動を立ち上げようとしているのでは?という気がしている.
2004年02月14日
昭和館で昭和の名力士を見る
東京の九段下に昭和館という国立の施設がある.ホームページの紹介によると『戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世代の人々に伝えていこうとする』ことを目的に建てられたものであるらしい.だが,そういうことはさておき,「大相撲大全集 昭和の名力士」全20巻を見ることができる.休館日は月曜で土曜・日曜も営業しているし,なにより,一部に有料展示があるものの,映像・音響室は無料で利用できるので相撲ビデオを無料で楽しめるのが嬉しい.
ただ,残念ながら,映像・音響室は資料整理のため 2月17日(火)~29日(日)までの間,閉室とのこと.出かける時には注意したい.
追記(2/22)あり.
まぁ,「昭和の名力士」を無料で見よう!などという考えは,そもそもの目的から外れている.それっぽい使い方をするなら,昭和10~30年代ぐらいのスポーツニュースを検索してみるといい.相撲のニュースもかなりとりあげられている.
昭和20年代に小学校の校庭で行われた相撲の様子を,外人さんが撮影していったと思われる映像も公開されている.
ちなみに,昭和館のすぐそばには,「ハケとブラシなら何でも扱っている」というハケブラシのお店がある.昭和館を出て靖国通りを神保町方面に数分歩くとすぐに見つかる.「相撲土俵用ホウキ」を扱っているというウワサを聞いて(読んで)いたのだが,先日そのお店の前を通ったときには,そういう貼り紙は出ていなかった.少々残念.
追記(2/22).ニュース映像の中に,立浪部屋の歌をうたう北ノ洋なんてのも出てきました.昭和20-30年代は,普通のニュースにもふんだんに相撲が出てくる時代ですので,一通りニュース映像を見てみると思わぬ発見があるかもしれません.