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2005年02月06日

国技館から消えたもの

今年の1月場所から国技館が全面禁煙となり,それまで升席に備えつけてあった「灰皿」が姿を消してしまいました.写真は,伊勢ノ海部屋の上がり座敷に,座布団を四枚敷き灰皿とそれを納める木製の「火箱」を置いて,升席の雰囲気を再現してみたものです.本当でしたら,お茶を飲むための湯呑みセットが灰皿の向こう側に置かれます.

Hibako1.jpg

これを見て分かる通り,升席って意外と狭いんです.

でも,その狭い空間を広く使うためにの工夫が火箱には施されています.ます,箱の上に空いた丸い穴.これは,お茶をいれた急須を置くための穴です.穴に据えるわけですので,少々揺れても急須が倒れるということはありません.それと,灰皿を使わない場合には,陶製の灰皿を木製の「火箱」の中に納めることができます.そうすることで,タバコを吸わないお客さんの場合には,ほんの少しですが,升席の空間を広く使うことができます.

Hibako2.jpg

そんな国技館の風景も,今はもう見ることができなくなってしまいました.それもこれも,健康増進法という不思議な法律のおかげです.


第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

健康増進法 第五章第二節

◆新聞記事へのリンク: 国技館全席禁煙で灰皿入れ「火箱」を相撲博物館に寄贈(読売新聞)火箱博物館入り、全面禁煙両国国技館(ニッカン)升席の火箱を相撲博物館に 国技館禁煙で(毎日新聞)

投稿者 omochi : 23:57 | コメント (0)

2004年07月15日

七月の参議院議員選挙

何年か前に,地方場所中の力士が不在者投票をしたというニュースが報道されていたのを覚えているだろうか?参議院には解散がないので,3年に1回,ちょうど名古屋場所の時期に選挙が行われる.今回もまた,力士達は不在者投票(実は事前投票という名称に変わったのだが)を行ない,選挙権を行使したようである.が,ニュースバリューがないのか,報道を目にすることはなかった.「当たり前のこと」ととらえられているのであれば,それはそれで結構なことではある.

投稿者 omochi : 00:04 | コメント (0)

2004年02月29日

相撲甚句物語 花筏健・著

全国各地に伝承されている相撲甚句を丹念に実地調査し,筆者なりの分析を交えながら相撲甚句の成り立ちを考察している.甚句のルーツを探った本格的な書籍である.

相撲甚句物語―ルーツを求めて,花筏 健 (著),現代書館,2000円(税別)

筆者の花筏(はないかだ)氏は,昭和35年に初土俵を踏み昭和41年に引退した元十両力士で,現在は山形県鶴岡市にて,ちゃんこ花筏を営んでいる(花筏は現役時代の四股名).著書も多数ある.

私が気に入った一節は次のようなまとめである.

相撲甚句のルーツは甚九郎節であり、また船乗り唄、盆踊り唄、二上り甚句でもある。いろいろな唄の要素を取り入れて成り立ち、今日に至っている。すなわち甚句は唄の”ちゃんこ鍋”とも言えよう。そして甚句の歴史は、まさに真似と改作の歴史でもあった。

ここへ至る過程で筆者は,”ちゃんこ鍋”の由来に関するいくつかの節を比較しながら,実は沖縄の「チャンプルー」や長崎の「チャンポン」と同じような語源を持ち,肉や魚や野菜などの色々なものを「ゴッタ煮」にした鍋ではないだろうか?という節を披露している.ただし,本職のちゃんこ料理屋として,単にゴッタ煮にしただけでは美味くはならないことも,忘れずに注意している.

その例を引き合いに出した上で,相撲甚句も日本各地に伝わる唄のチャンポンなのである.と,結論づけている.当然,単に混ぜ合わせただけではダメで,素材の特徴を活かし,いい味を出し,まわりに受け入れられたものが今現在生き残っていることになる.

ちなみに,伊勢ノ海部屋マネージャの浅坂氏も,甚句の資料を花筏氏に提供しており,協力者として「第II部 甚句の成立」の終りの方に名前が記載されている.

なお,本書を発刊後の顛末が(というほど大袈裟ではないと思うが),氏のホームページで公開されている.未知の『甚句伝承地』との新たな出会いがあったようである.

投稿者 omochi : 20:11 | コメント (3)

2004年02月14日

昭和館で昭和の名力士を見る

東京の九段下に昭和館という国立の施設がある.ホームページの紹介によると『戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世代の人々に伝えていこうとする』ことを目的に建てられたものであるらしい.だが,そういうことはさておき,「大相撲大全集 昭和の名力士」全20巻を見ることができる.休館日は月曜で土曜・日曜も営業しているし,なにより,一部に有料展示があるものの,映像・音響室は無料で利用できるので相撲ビデオを無料で楽しめるのが嬉しい.

ただ,残念ながら,映像・音響室は資料整理のため 2月17日(火)~29日(日)までの間,閉室とのこと.出かける時には注意したい.

追記(2/22)あり.

まぁ,「昭和の名力士」を無料で見よう!などという考えは,そもそもの目的から外れている.それっぽい使い方をするなら,昭和10~30年代ぐらいのスポーツニュースを検索してみるといい.相撲のニュースもかなりとりあげられている.

昭和20年代に小学校の校庭で行われた相撲の様子を,外人さんが撮影していったと思われる映像も公開されている.

ちなみに,昭和館のすぐそばには,「ハケとブラシなら何でも扱っている」というハケブラシのお店がある.昭和館を出て靖国通りを神保町方面に数分歩くとすぐに見つかる.「相撲土俵用ホウキ」を扱っているというウワサを聞いて(読んで)いたのだが,先日そのお店の前を通ったときには,そういう貼り紙は出ていなかった.少々残念.


追記(2/22).ニュース映像の中に,立浪部屋の歌をうたう北ノ洋なんてのも出てきました.昭和20-30年代は,普通のニュースにもふんだんに相撲が出てくる時代ですので,一通りニュース映像を見てみると思わぬ発見があるかもしれません.

投稿者 omochi : 17:42 | コメント (0)

2004年01月14日

相撲が持つ色々な側面

伊勢ノ海部屋応援掲示板に,こんな↓書き込みがありました.

僕は学校で相撲についてテーマ研究をしています。もしよければいろいろ参考にしたいと考えているのですが、、、
僕は相撲は日本の伝統であると思うんですが、近年の若者はだんだん相撲に対する関心が減っていっているように思えます。このままの状態は非常に喜ばしくないって考えています。みなさんはこれからの相撲界についてどうお考えでしょうか?よければみなさんの意見をご教授してくれれば幸いです。

なわけで,相撲が持つ特徴を,簡単に振り返ってみたいと思います.

■ 最初の相撲
「日本書紀」には野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)の死闘(ちからくらべ)が相撲のルーツであると言われています.

■ 神事としての相撲
農耕社会の日本では,五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願い,力人(ちからびと)達が競演を繰り広げることで,神へ感謝の意を表わしたりします.今でも各地の神社などで行われている奉納相撲は,神事としての相撲であると考えられます.

■ 相撲節(すまいのせち)
競技としての相撲と,(農耕儀礼のような)儀式としての相撲の両方の特徴を合わせて形式化し,天皇の御前で繰り広げられる相撲人(力士)たちの力競べ(取り組み)を相撲節と呼びます.これは毎年1回7月に開催され,9世紀から12世紀末までの約400年間に行われていた.この段階で,制度としての相撲が確立されたと言われています.

■ 武家相撲・職業相撲
ちょいと省略

■ 現代の相撲
大相撲(いわゆるプロ)とアマチュア相撲とがありますが,大相撲の繁栄とは対照的にアマチュア相撲の人気はほとんどありません.唯一の例外が小学生を対象としたわんぱく相撲で,予選参加者を含めた競技人口は1万人近くいるようです.しかしながら,中学・高校へ進学するにつれて,アマチュア相撲の競技人口は激減しています.

ただし,一部のアマチュア力士は大学まで相撲競技を続け,その後プロ入りし大相撲で活躍していることは,ご存知の通りです.平成16年初場所の幕内力士42名中,学生相撲出身者は 15名を超えています.更に,朝青龍や朝赤龍のように高校相撲経験者がそのままプロ入りし,比較的短期間のうちに関取となっている例もあります.

大相撲においては,マゲや行司の装束に見られるように,歴史的・文化的な部分を残しつつ,競技(興行?)としての相撲を発展させていますが,一方でアマチュア相撲では,制度やルールを洗練し,相撲を開かれた競技(スポーツ)とする努力をしています.その結果として,アマチュアの世界選手権大会が開催されたり,あるいは女性用の新相撲が設立されたりしています.

国際化という観点で見ると,大相撲では個々の力士が日本文化に順応することを(暗に)強いているのに対して,アマチュア相撲では日本文化を知らない国の人でも競技可能なように制度やルールを整備しているという違いがあります.例えば相撲の立ち合い.大相撲ではいわゆる「阿吽(あうん)の呼吸」を理解しないと満足な立ち合いができませんが,アマチュアでは「両手を土俵に着いて静止したのちに審判のかけ声とともに立ち合う」ことになっています.このようにルールを変更することで,誰でも比較的簡単に競技としての相撲を始めることができます.

■ テーマ研究に関して
上記のようなことをふまえつつ,相撲を見て面白いと感じる心はどのようにして育って行くのか.あるいは,ちょっと相撲でも取ってみようかと思った時に,気楽に相撲を取れる環境があるのか.神社のお祭り相撲に飛び入り参加した経験のある若者はどの程度いるのか.わんぱく相撲の経験はあるけど,結局相撲は続けずに他のスポーツに転向した人がどの程度いるのか(ラグビー転向者って結構多いようです).などなどを調査したりしてまとめると,いい感じになるんじゃないでしょうか?
と言いつつ,このぐらいのことをするのって高校生以上じゃないと厳しいような気がします.質問をしてくれた藤江ma-kun さんがもし中学生以下だとすると,あまり直接の参考にはならないかもしれません.その時はごめんなさい.


■ 参考図書
相撲の歴史」,新田一郎,山川出版社.

相撲、国技となる」,風見明,大修館書店.

大相撲の経済学」,中島隆信,東洋経済新報社.

投稿者 omochi : 23:56 | コメント (5)

2003年11月15日

天然ハーブに関する補足

先日のエントリ「天然ハーブと力士の寿命」(11/12)で,『天然ハーブなエアコンが数年後に発売されるのかもしれない』なんて書いてしまったが,少しまじめに調べてみると,夏には加湿器が発売されていて,更にエアコンは来年1月には発売予定であることがわかった.

前回エントリにて,三菱電機のプレスリリースを調べておかなかったのは,大失敗であった.まずは,「抗酸化効果を高めた空調機器の製品化着手」のお知らせという2003年11月7日付けのプレスリリース.これが読売新聞の記事の元ネタであることは間違いない.そのプレスリリースを読むと,天然ハーブの一種であるローズマリーに活性酸素を抑制・消去する抗酸化物質が多く含まれていること,その物質は,揮発された空気中にあっても効果を発揮することが新たに確認されたということ,などがわかる.

ローズマリーに含まれる抗酸化物質を摂取するだけであれば,食べたり,飲んだり,塗ったりするものが主流だったのだが,これからは空気を吸うだけで,効果が得られることになる.もう少し簡単に言うと,普通に空気を吸っているだけで,肌にシミやシワができるのを防いだり,老化の進行を遅らせたり,癌の発生を抑えることができたり...なんてスゴイことになるってわけだ.

さて,11/7のプレスリリースでは製品開発に取り組んでいるということの発表であったが,続く11/13のプレスリリースでは,そんなエアコンを来年早々に発売するという発表だ.このエアコン,天然ハーブのローズマリーから抽出した抗酸化成分を封入したサプリカートリッジを搭載し,健康的な室内環境を保ってくれる.

もう少しプレスリリースを遡ると,天然ハーブの「サプリメントエアー」によるリフレッシュ機能を新搭載加湿機(8/4)や,石油ファンヒーター/クリーンヒーター(7/29)なんてのも発表していた.おそるべし三菱電機といった感じである.

伊勢ノ海部屋の太郎太が立呼出になるまでには,あと30年以上もかかる.それまで元気でいるためには,こんな電化製品に囲まれて暮らす必要もあるのかもしれない.

ついでなので,楽天で対応する製品を調べてみた.ご参考.
■ 三菱 加湿器 SV-H603: デジ倉 | ky-shop
■ 三菱 石油ファンヒーター KD-SX48D-N: ky-shop | 赤札市
■ 三菱 石油クリーンヒーター VKB-501M: Newいっぴん堂

最後に,ハーブってこんなに種類があるんですね.

投稿者 omochi : 12:15 | コメント (0)

2003年11月12日

天然ハーブと力士の寿命

稽古直後の力士の体は活性酸素だらけ.この活性酸素は老化の原因.なので,力士の老化は早い(三段論法).というわけなのだが,天然ハーブに活性酸素の働きを抑える効果があることがわかってきた.でも,酸素にはケガの回復を早めるという効果もあったはずだが?

稽古直後の力士の体は活性酸素だらけ...そんな話を聞いたことがある.真実かどうかは良くわからないのだが,記事中の解説(↓)を読むと,なんとなくそれっぽい.

活性酸素は喫煙や飲酒、激しい運動などで体内に発生する。殺菌効果がある反面、細胞内の遺伝子や血管の細胞を傷つけ、がんや動脈硬化を引き起こすなど、生活習慣病や老化の原因になるとされている。

現役力士の寿命(あくまでも,選手としての寿命ね)を伸ばすには,稽古直後に天然ハーブエキス配合のなんちゃらオイルを使ってマッサージするのが,活性酸素の働きを抑えることができて効果覿面(こうかてきめん).
なんてことを誰か実証してくれないだろうか.その場合,オイルはやはり抗酸化作用の強いオリーブオイルを使うんでしょうね.

新聞記事の方は,(なぜか)三菱電機と(いわゆる独立行政法人の)産業技術総合研究所とが共同で,そんな効果を世界で初めて確認したという話.エアコンに適用しようというのが笑える.カテキン,マイナスイオンに続き,天然ハーブなエアコンが数年後に発売されるのかもしれない.

酸素違いかもしれないが,高圧酸素を用いた治療法というのも知られている.人間の体を約2-3気圧という高圧な環境に置き,高濃度の酸素が体内に取り込まれるようにする.そうすると,血管内の酸素量や血管から組織への酸素の広がり具合が通常に比べて大きくなり,結果的に回復可能な組織が元気になるってのが,治療法の原理である(知ったかぶり).

秋場所後に,日本相撲協会が高圧酸素治療器を両国国技館内の相撲診療所に設置するなんてニュース(ニッカンスポニチ)が流れていたが,同じものである.こちらは,ケガの回復を早め,強靭な肉体を作るために利用される(ハズだ).この機械,通称ベッカムカプセルと呼ばれているらしいが,その理由は元記事に当たろう.大した理由ではない.

なお,「ハーブ」+「健康」で本のタイトルをアマゾン検索すると,こんな結果が出てくる.ハーブって本当に健康にいいんですね.


(*)補足のエントリを追加しました.

投稿者 omochi : 12:13 | コメント (0)